最新刊
エイサー物語ーー移動する人、伝播する芸能
(2020/01/17)「大切なことは生きていると実感できる瞬間であり、それを与えてくれるのがエイサーなのだ」ーー沖縄の盆踊りであったエイサーが、いまや日本全土、世界にまで広がっている。芸能伝播の現場で何が起きているのか。エイサーを踊り、歌い、伝えた人々の物語。 「はじめに」よりーー さて、本書はたしかに研究書の体裁をとってはいるけれども、内容そのものは「物語」と言ってよいものだ。研究が進展するにつれて、伝播過程をたどる調査の結果が、そのまま一種の「物語」を形成していることに気がついた。それゆえ、本書の最大の特徴は、研究書と物語との、この異例の合体にある。その物語は八重山諸島から始まるが、しかしそこに留まらず、沖縄本島を縦断して日本本土にまで達する。その間に、戦後沖縄の「密貿易」の興隆とか、エイサーの手踊りに使われる「はたき」(ぜい)の由来とか、はたまた沖縄の若者の本土就職の状況とか、いくつもの小さな、あるいは場合によって、大きなエピソードがちりばめられている。その結果、本書は一般のエイサーファンの若者たち、すなわち、エイサーを愛してやまない、エイサーの魅力のとりことなった若者たちにもアクセス可能な内容となっている。とくにエイサーを実践しながら、エイサーそのものについてもっと知りたいと思っている若者たちに本書をぜひ読んでほしい。本書は、そもそもそうした若者を念頭に置いて書かれているからだ。
この著者の作品1
世界思想社の作品12
テレビから学んだ時代ーー商業教育局のクイズ・洋画・ニュースショー
所有と分配の人類学ーーエチオピア農村社会の土地と富をめぐる力学
野生のエンジニアリングーータイ中小工業における人とモノの人類学
愛と孤独のフォルクローレーーボリビア音楽家と生の人類学
ギニア湾の悪魔ーーキリスト教系新宗教をめぐる情動と憑依の民族誌
子どもたちがつくる町ーー大阪・西成の子育て支援
こどものみらい叢書
プシコ ナウティカーーイタリア精神医療の人類学
戦争の記憶と国家ーー帰還兵が見た殉教と忘却の現代イラン
都市を生きぬくための狡知ーータンザニアの零細商人マチンガの民族誌
文化人類学の思考法
知的所有権の人類学ーー現代インドの生物資源をめぐる科学と在来知