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グッド・アンセスター
(2021/11/26)私たちは、どうしたら「よき祖先」になれるのか! 私たちは皆いずれは、未来に生まれてくる人たちにとっての祖先となります。その時、未来の人たちに私たちが「よき祖先」と思ってもらえるかどうか。負の遺産を残した「悪い祖先」にならないようにするには、今、どんな行動をすればよいのかを論じた内容です。 著者はイギリスの文化思想家。「よき祖先」になるための考え方、方法、過去から現在までの活動例を紹介します。また、その問題を様々な視点から分析し、私たちに行動を起こすよう提案しています。 考え方は、長期思考を重視するということです。 日本での政治施策の例 1550年〜1750年にかけて日本の森林は荒廃し、生態系も社会も崩壊する寸前でした。 国の支配者は、森を切り開いて何千もの城や神社、邸宅を建てたのです。森林が大量に伐採されたため洪水に襲われ、その結果1600年以降は大飢饉が相次ました。 これに対して、徳川家は、1760年から100年間、世界初の大規模な林業計画に着手したんです。役人は村人に報酬を払い年間10万本の苗木を植えさせました。 この結果、1度は文明衰退の道をたどった日本が19世紀後半には再び緑の国に戻ることができました。これは私たちが環境危機に対処するためにどう長期計画をたてればよいかという希望のモデルだと言えます。 出版関連の事例では、オーストリアの「人類の記憶」という企画。人類の最も重要な著書1000冊をセラミック製のタブレットに保存し100万年保存するというもの。 また、スコットランドのケイティ・パターソンは、「未来の図書館」というプロジェクトを進めています。これは、2014年から100年にわたり毎年著名な作家が新作を寄贈し、100年後印刷され、22世紀の読者に提供するというものです。 現代の人々は、基本的に目先のことに追われて、短期思考になっているので、長期思考を意識することが未来の人々のためになると語っています。 現在、「SDGs」が叫ばれていますが、正にこの本は「持続可能な開発目標」を具現化させるための方法をわかりやすく記述した書でもあります。