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読む漢字ドリル
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本書は、常用漢字とその音訓(読み方)のポイントを確認するための教材です。 漢字、その音訓、語例は常用漢字表を出所とし、本書はそこから注意すべきポイントを抜き出し、整理分類し、ドリルの形式に編集したものです。漢字ドリルの形式ですが、漢字の形を学び、覚えるための教材ではないので、書き取りの問題でも、その答えとなる漢字を逐一(ちくいち)書く必要はありません。本書のタイトルを「読む漢字ドリル」とした所以(ゆえん)です。本書を丁寧(ていねい)に、時に辞書を引き、頭の中を整理しながら、繰り返し読んで頂くと成果は得られるはずです。 対象読者は、中学生から社会人までを想定しています。すべての漢字に学習年次の目安を付しましたので、読者によって学習対象の漢字、語例を選択できます。 常用漢字表の記載内容で着目すべきは、音訓欄の一字下げの音訓、備考欄の注記、付表、この3項目に尽きます。ここに間違えやすい音訓や注意すべき語例が多く示されています。大切な情報が溢れている!と言っても過言ではありません。本書が常用漢字表から抜き出したのは、これらの情報に他なりません。概要を以下に紹介します。 一字下げの音訓 一字下げの音訓は、音訓が一文字分だけ右にずれて表記されているものです。音訓欄にまばらにしか見られないので、意識して見ないと気づかないかもしれません。集計すると音訓全体の約4%しかないものです。以下、その例です。 ・「依」の音訓 「エ」(語例:帰依) ・「疫」の音訓 「ヤク」(語例:疫病神) ・「益」の音訓 「ヤク」(語例:ご利益) ・「遠」の音訓 「オン」(語例:久遠) ・「火」の音訓 「ほ」(語例:火影) ・「夏」の音訓 「ゲ」(語例:夏至) ・「回」の音訓 「エ」(語例:回向) 常用漢字表の冒頭「1.表の見方」7項目に一字下げの音訓についての説明があります。「音訓欄には,音訓を示した。字音は片仮名で,字訓は平仮名で示した。1字下げで示した音訓は,特別なものか,又は用法のごく狭いものである。なお,1字下げで示した音訓のうち,備考欄に都道府県名を注記したものは,原則として,その都道府県名にのみ用いる音訓であることを示す。」とあります。 一字下げの音訓は「特別なものか,又は用法のごく狭いもの」と位置付けられています。確かに、「依」を「エ」と読むのは特別な場合です。「依」の音は普通は「イ」ですから。しかし、この「エ」も常用漢字表に明記されているのですから、しっかりと押さえておきたいものです。語例の「帰依(キエ)」をもって押さえることが大切です。常用漢字表には、一字下げの音訓を持つ漢字が163字、一字下げの音訓が178音示されています。すべて留意すべき音訓です。本書はそれらを漏れなく収録しました。 備考欄の注記 備考欄の注記は重要です。間違えやすいポイントを示してくれています。常用漢字表の冒頭「1.表の見方」の11項、12項に備考欄に関わる説明があります。備考欄には、音韻上の変化を伴う音訓、異字同訓、都道府県名、字体についての解説などを記したとあります。 備考欄の注記の全体に目を通すと、各々の注記は内容によってもう少し細かいカテゴリーに分けられることに気が付きました。混然と羅列するよりも、カテゴリーに分けることによって、頭の中の整理も促進され理解も深まります。以下、注記の例をカテゴリーに分けて挙げてみます。(字体については、「明朝体と筆写の楷書との関係、筆写の楷書字形と印刷文字字形の違い等に関する注記であり、本書の趣旨から外れますので本書では触れていません。」 音韻上の変化を伴う音訓 ・「位」の注記 「三位一体は、サンミイッタイ」 ・「位」の注記 「従三位は、ジュサンミ」 ・「縁」の注記 「因縁は、インネン」 ・「王」の注記 「親王、勤王などは、シンノウ、キンノウ」 ・「音」の注記 「観音は、カンノン」 当て字、熟字訓 ・「為」の注記 「為替(かわせ)」 ・「意」の注記 「意気地(いくじ)」 ・「屋」の注記 「母屋(おもや)」 ・「乙」の注記 「乙女(おとめ)」 異字同訓 ・「宛」の注記 「⇔当てる、充てる」 ・「畏」の注記 「⇔恐れる」 ・「引」の注記 「⇔弾く」 ・「陰」の注記 「⇔影」 都道府県名で使われる漢字 ・「愛」の注記 「愛媛(えひめ)県」 ・「分」の注記 「大分(おおいた)県」 ・「良」の注記 「奈良(なら)県」 ・「児」の注記 「鹿児島(かごしま)県」 その他の注意事項 ・「腎」の注記 「肝腎」は「肝心」とも書く。 ・「宮」の注記 (ク)は「宮内庁」などと使う。 ・「上」の注記 「身上」は、「シンショウ」と「シンジョウ」とで意味が違う。 ・「憂」の注記 「憂き」は文語の連体形。 音訓、当て字、熟字訓、異字同訓、県名に使われる漢字等に関する注意喚起です。常用漢字表には、備考注記を持つ漢字が246字、注記数が270項目示されています。そのすべてが着目すべき留意点です。本書はそれらを漏れなく収録しました。 (字体に関する注記は除きます。) 付表 付表には、当て字、熟字訓が一覧にまとめられています。以下、その例です。 ・明日(あす) ・小豆(あずき) ・海女(あま) ・海士(あま) ・硫黄(いおう) ・意気地(いくじ) ・田舎(いなか) 当て字、熟字訓はテレビのクイズ番組で問題として出題されることも多く、奥深いもので、取り上げ始めるときりがありません。一般の社会生活を送るうえでは、或いは大学、高校の入試対策としては深入りする必要はないと考えます。 ただ、常用漢字表に示さているものは常識として押さえておきたいものです。付表は、当て字、熟字訓の中でも、社会で使用度の高いものを集めた一覧と言えるかもしれません。付表には当て字、熟字訓の語句が124語示されています。本書ではそのすべてを採り上げました。 注意:先に紹介した通り、当て字、熟字訓は備考欄にも示されています。当方で双方を整理、照合した結果、それらが一致することが確認されました。本書ではそれらを集約し、常用漢字表に示された124語の当て字、熟字訓として本編にまとめました。 以上、音訓欄の一字下げの音訓、備考欄の注記、付表の概要です。これらを整理して教材にすれば、少し誰かの役に立つかと思い、まとめたのが本書です。ぜひ、楽しみながら、肩の力を抜いて読んで頂ければと思います。 追記 常用漢字はおおむね義務教育の課程で学ぶもので、誰もが確実に身につけておくべきものです。もちろん、多くの方は、大方の常用漢字ならば身につけていて、書けるし、読めるはずです。(常用漢字の位置づけについての詳細は、#常用漢字の位置づけの項をご参照下さい。) しかし、常用漢字も侮(あなど)れません。常用漢字は、漢字自体は難しくはないのですが、例えば、特定の熟語の中で使われる場合に読み方に注意を要することが多くあります。先に挙げた例と重なりますが、以下、読み方に注意すべき語例です。 帰依、御利益、久遠、火影、夏至、回向、開眼、行脚、勤行、庫裏、従三位、親王、安穏、意気地、河岸、・・・ 答えは、キエ、ゴリヤク、クオン、ほかげ、ゲシ、エコウ、カイゲン、アンギャ、ゴンギョウ、クリ、ジュサンミ、シンノウ、アンノン、いくじ、かし。(訓読み、当て字、熟字訓はひらがな、音読みはカタカナで表記しています) また、異字同訓の語句にも注意すべきです。漢字そのものは簡単な常用漢字であっても、その書き分けには注意を要します。 災難に「あーう」、駅で落ち「あーう」、歓声が「あーがる」、全力を「あーげる」、・・・ 答えは、災難に「遭う」、駅で落ち「合う」、歓声が「揚がる」、全力を「挙げる」。 社会人でさえ読み方や書き分けを間違えることのある語例です。昔から繰り返し入試に出題される語句でもあります。常用漢字といえども侮(あなど)れない、常用漢字だからこそ間違ってはいけない、確実に押さえておくべき漢字とその音訓(読み方)、語例です。こうした例をしっかりと確認していただくことが、本書の目的です。 以上 本書の まえがき から

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