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絶局 本能寺異聞
(2020/10/29)武将はみな、戦国という盤上の碁石なのか? 「信長公の首級は何処にある」 囲碁名人の本因坊算砂は息が止まりかけた。 慶長十二年師走、大坂の陣が勃発する七年ほど前の駿府城。 すでに将軍職を嫡男の秀忠に譲り、 今は大御所政治を敷いている徳川家康と 対局している最中の出来事だった。 心中深く見通すような眼光で睨んでくる家康に、 沈黙するほかない算砂ーー。 家康の気迫が込められた、 堅固な盤を打ち抜かんばかりの碁石の音が、 算砂の「炎の記憶」を呼びさましたのであった。 算砂は、日海と名乗っていた若かりし頃、 戦国の荒波に翻弄され、図らずも本能寺の変に触れていた。 いまだ見つからない織田信長の亡骸、 依然と知れない明智光秀の肚の内。 茶会や連歌の会、安土築城などに潜む数々の謎。 なにが謀反を引き起こしたのか? 信長や光秀、松永久秀、荒木村重、 佐久間信盛、斎藤利三ら武将、 五摂家筆頭の近衛前久、連歌師の里村紹巴、 堺商人の小西隆佐、雑賀衆の鈴木孫一と善住房、 薬師の曲直瀬道三、神主の吉田兼和、 宣教師のオルガンティーノらは、国盗りという盤上の碁石なのか? 若き法華僧の棋士が戦国人の間近で見た 歴史の棋譜を描く、瞠目の長編歴史小説。
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