コミッカ
恍惚の刻

恍惚の刻

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恍惚の刻

(2022/01/14)

深夜の長い坂道の上で、夏子は、車のエンジンをとめた。サイドブレーキを戻すと、車はそのまま走り出した。その中で、夏子は、大町に挑んできた。夏子と大町は、狭いシートの上に、重なって倒れた。運転者の姿の見えない車が、しだいに加速しながら、滑って行く。わずか3分間ほどの、恐怖を伴った異常な興奮は、すばらしかった。それは、セックスの園を長くさまよいつづけた大町にとっても、はじめての経験であった。……「肌色あつめ」「落ちる実」の連作として書かれ、底の知れないセックスの世界に、この作者ならではのメスをいれたユニークな長篇小説。

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