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帳簿官の家系に生まれ、代々『冷却の段階開示』の作法を受け継ぐ侯爵令嬢クラリーチェ。婚約者の公爵に静かに我慢する側へ回ってきた半年間、わたしは一段ずつ冷却の準備を整えてきた。そして元老院の予算大会の前夜祭、最後の一段を踏みましたーー「もう支えきれません」と帳簿を返却し、古都ルーチェ・アンティカの法務総長府の離館へ退去する。前公爵は呆然と「何の話だ」と問い返したけれど、わたしは振り返らなかった。社交界全員が「帳簿官の令嬢がついに冷酷を露わにした」と誤解する中、ただ一人ーー氷の法務総長セヴランだけが、わたしの冷却の作法を半年前から勘定書の余白の取り方と注記の組み立て方で見定めていた。「貴女の冷却の作法を、私は妻として隣に置く。半年間、貴女の勘定書を読み続けて、この時を待っていた」。後悔者の名を口にしない作法を進めていくその全てを、彼だけが「見事な締めでしたね」と暗い昂揚で称えてくださる。冷却装置の手を解いた素のわたしと、唯一の共感者だけが知る離館の溺愛の結末へ。女性向けTL長編・全10章完結。
この著者の作品1
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