最新刊
中受 12歳の交差点
(2025/06/25)『サイコーの通知表』『だれもみえない教室で』など学校における子どもたちの生きづらさに寄り添った作品を生み出し続ける児童文学作家・工藤純子。書き下ろし最新作のテーマは、加熱する「中学受験」!都立中学の受検(適性検査)、私立中学の受験、AO入試。三者三様の動機と道のりから、受験のリアルを描き出します。 ──「学歴」というのは、ゲームでいう「武器」のようなものだ。いい学歴は最強の武器になる。だったら、ゲームオーバーにならないために、そのアイテムを獲得するのは当然のことだ。中学受験は、そのために必要なこと。ステージをクリアしていくため「魔法の鍵」。そう感じ取って、「ぼくも中学受験する!」と、その場で宣言した。(本文より) 小学6年生の新は、都立中学合格を目指し、進学塾に通いながら勉強漬けの日々を送っている。かつて夢中だったサッカーを辞め、中学受験にすべてをかけてきた。しかし模試の成績が下がり、塾の先生からも私立受験の提案を受け、ふがいなさに心が揺れる。そんな折、あこがれだった従兄が有名高校を中退したことを知り、「進学校に行けば成功するわけではない」と思い知らされる。なんのために、誰のために受験をするのか? 悩む新。 一方、クラスメイトから軽く扱われがちな広翔は、自分の意見をうまく言えず、自分のことを透明人間のように感じていた。広翔にとって学校とは「楽しくない場所」なのが当たり前。しかし私立中学の見学に行き、「ここなら友だちができるかもしれない」と自分なりの受験を決意する。 バレーボールに打ち込むつむぎは、勉強が得意とはいえない。近所の公立中学にはバレーボール部がなく、中学生になったらバレーをやめなければならないと思っていた。だが、憧れのバレーボール選手の言葉をきっかけに、ペーパーテストではない「AO入試」があるということを知る。6年生の12月という遅い時期から、家族一丸となり合格を目指し……。 「中受」を考えている方、「中受」真っ最中の方、「中受」を終えた方、そして保護者の方にも読んでいただきたい一冊です。