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精神的価値とは何か
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この本は「人間が日常的に行っている会話という行為を脳の認知機能という視点を入れて分析する」という内容を持つ『人間関係のコツ12 会話から脳の認知機能を考える・前編』という本の続編です。 人と人が会ってごく簡単な会話をするだけでも「顔認識や人物認識によって相手が誰かを的確に認識する」「相手の話を的確に聞き取る」「言語認識」「相手に応じた対応の仕方」「話の引き出し(検索)」「チェック」「予測」「プランニング」等の様々な認知のプロセスを経る必要がありますが、こうしたプロセスの多くは「瞬間的判断」によって同時並行的にほとんど一瞬で行われるため、「日常的に会話ができる人であれば、誰もが瞬間的に高度な判断ができるだけの凄い能力の持ち主」という言い方ができます。 ところが、こうした「誰もが(仮に記憶力とか運動能力などで他の人と比べて劣っていても)瞬間的判断力という高度な能力を持っている」とか「会話が成り立つためには様々な認知のプロセスを経る必要があるが、人間の脳というのはそうしたプロセスでその都度“想像を絶するほど高次元なはたらき”(脳科学者の池谷裕二氏)を行っている」ということが言われないため、この「瞬間的判断力」という概念は世間でほとんど取り上げられず、「当たり前のこと」として軽く扱われていると思います。 私としては考える中で「脳の認知機能というものを軽く扱っている傾向は問題で、人間はこれだけ高度な機能を持っている(それを与えられている)ことを明確に自覚するべきではないか」という思いになってこの『会話から脳の認知機能を考える』という本を書くことになったのですが、こう言いますと「そんなことは専門家である脳科学の研究者に任せればいいじゃないか。脳科学というのは世界中で相当な数の研究者がいる花形の学問なんだから」という意見も出るかもしれませんが、私としては考える中で「脳科学で様々な研究が行われていることは間違いないとは思うけど、それでいて肝心なことが言われていないんじゃないか」という思いになり、「何もわからない素人ではあるが、自分なりのアプローチをしてみるしかない」という覚悟を決めたところがあります。 そしてこの「後編」ではこの「会話から脳の認知機能を考える」というテーマに関して、「前編」で書いた話よりもかなり踏み込んだ話が入ったと感じているところがあり、少なくとも私にとっては後編で書いた話の一つ一つが「衝撃的」だったものです。 これは本にも書いた話ですが、これらの本でやっている「脳科学的な分析」というのは私にとって未知の世界(相当なチャレンジ)だったので、一つ一つのことを考えるのがすごく大変だったものです。 書く際の参考にするために、脳科学の専門家の方々によって書かれた文献をいくつか読んでみたのですが、納得できないことばかりで、「この程度のことは脳科学で解明してくれよ……」という気持ちになったことが何度もあったものです。 ところが、書き進める中で次第に自分の考えがまとまっていき、やがて「意識する場所(ワーキングメモリ)は狭いことでどうしても意識するものは最小限に留めたいという心理になってしまう」「瞬間的判断ができるためのプログラムは存在していないのではなく、存在していながら自覚できないだけ」「人間は意識に載っているものだけが自分という感覚に支配されている」「考えたり迷ったり失敗することがマイナスとしか思えない場合、過去の見えなくなった努力に対する見える化や理解が足りないことを意味する」「努力が見えないことによる「争い」「戦争」「自信の喪失」「認知症」等の問題が起こる根本の原因として意識する場所が狭いことがある」等の、脳科学では言われていないオリジナルの視点もかなり盛り込めるという結果になったので、最終的には「自分の力で考えることができたのは本当によかった」という気持ちになっています。 私はこれまでの20年以上の作家生活の中で、電子書籍で110タイトルほどの本を書いてきましたが、ずっと思ってきたのは「自分の本は心の問題に偏っている」ということです。「心と体のバランスが大事」という言い方もあるように、ここ数年は「何とかバランスが取れるようにしないといけない」と思ってきたのですが、最近は『健康と医療シリーズ』が充実してきて「体の問題」の比重も高まってきただけでなく、今回「脳の問題」にも本格的に取り組むことができたので「この時点でもかなりバランスが取れてきたと言えるのでは」と思っているところがあります。 間違いなく言えることは「心の問題、体の問題、脳の問題というのは様々なところでつながっており、そのつながりがわかってくれば(さらには「本質からさかのぼって考える」ことも意識していれば)、様々な物事に対する理解が格段に深まってくるということです。この『会話から脳の認知機能を考える』(前後編)という本がそのための一助になればと思っています。 ※『精神的価値とは何か』シリーズ(2022年8月現在。値段は変更する可能性があります) 第1巻「価値とは何か」2000円 第2巻「現代日本に生きていることの価値の発見」0円 第3巻「お金で幸せは買えるか」500円 第4巻「試練はなぜ起こるのか」800円 第5巻「面白い人生とは何か」1000円 第6巻「会話から脳の認知機能を考える・後編」1000円 ※後編のまとめ抜粋 ・会話で「瞬間的判断にかかる時間」と「考えることにかかる時間」はケタが違う(場合によっては50倍とか100倍の違いが出る)ので、知識や経験を積み重ねて的確な状況で認識パターンを引き出せるようになれば会話は速くなっていく。(後編6節) ・たった一つのニューロンに複雑な情報を入れることが可能である以上、「判断や行動を相当なところまで自動化する」だけでなく「一生分を一瞬で理解する」ことも理論的には可能である。(後編9節) ・「考えたり迷ったりする経験を積まなければ絶対に瞬間的判断はできない」以上、時間や労力がかかるからと言って、考えたり迷ったりすることをマイナスと思ってはならない。(後編11節) ・「意識する場所(ワーキングメモリ)」の作業領域は狭くて限定されているため「緊張感が膨らんだら記憶の領域が圧迫される」とか「怒りの感情が膨らんだら理性の領域が圧迫される」というような現象が起こるが、意識する場所が狭いことでどうしても「意識するものは最小限に留めたい」という心理になってしまう。(後編14節) ・人間の判断や行動が「考えたり迷ったりしながら行うもの」であれば意識する場所に載るが、それが瞬間的判断になってしまえば載らなくなるので、その時点で意識から外れてしまい、それによって関心もなくなってしまう。(後編14節) ・意識する場所の狭さが人間の認識に与える影響力は凄まじいものがあり、誰でも明確に指摘されない限りは「意識する場所に載っているものだけが自分」という感覚に支配されてしまう。(後編14節) ・誰でも判断や行動の際にいつも無意識の予測をしていることを考えると「人間の脳には自動予測装置のような機能がついている」という言い方ができるが、嫌な予測をする際はマイナス感情がくっついてくるため、「予測のコントロール」という発想が必要である。(後編17節) ・相手の努力が見えないことが「争い」や「戦争」につながり、自分の努力が見えなくなることが「無気力化」「自信の喪失」「認知症」につながることを考えると「そうした様々な問題が起こる根本の原因は、意識する場所(ワーキングメモリ)が狭いことにある」という見方もできる。(後編20節) ・人間は「自分の努力を通してしか価値を認識できない」ため、自分の努力とは関係がないところに存在する「人体にある様々な器官や臓器の働き」「人体が成立するまでの神秘とその凄さ」「世界の仕組みとか構造が持つ価値」をはじめとする「元々見えない価値」を認識するのは簡単ではない。(後編21節) 前編から後編にかけて、この「会話から脳の認知機能を考える」というテーマで様々な話を紹介してきましたが、こうした話を通して私が一番言いたいことは「脳がこれだけ高度な認知機能を持っていることを多少なりとも重く受け止め、今までのような“当たり前”という感覚で終わらせないで欲しい」ということです。 昔と違って脳科学という学問が進展した現代という時代であれば多少なりとも理解できる環境が整ってきたと言えることで、「理解できるためのチャンスが出てきた」という言い方ができると思います。 そしてこの「脳の認知機能」だけでなく、様々な学問の進展によって「人体にある様々な器官や臓器の働き」とか「人体が成立するまでの神秘とその凄さ」、さらには「世界の仕組みとか構造が持つ価値」についても理解できるチャンスがどんどん出てきたという言い方ができ、私としてはこのチャンスを生かして「元々世界というものには、本来価値あるものがどこでも無数にゴロゴロ転がっている」ことが理解できる人が出てきてくれれば、という気持ちです。 〜「23 こうした話を通して私が一番言いたいことは「脳が高度な認知機能を持っていることを重く受け止め、当たり前で終わらせないで欲しい」ということ」より

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