孤独で無口、ボクシングだけを生きがいにしている少年・真也と、口達者で正義感の強い少女・リンは犬猿の仲。互いの存在を意識しつつも憎み合う二人は、実は共に複雑な家庭環境で育っていたが、それをひた隠し、それぞれ自分なりに人生を歩んでいた。が、あるときリンの母親がビルから転落死し、ショックで口がきけなくなったリンは失意のままタイに戻る。数年後、真也の所属するジムに女子ボクシング選手の卵としてタイから招かれたのがリンだった。全く口がきけなくなり人格も変わったかに見えるリンに会い、真也は驚き動揺する。過去の記憶も日本語までも忘れたかに見えるリンが、落ちこぼれの師、松田と共に高みを目指したとき、奇跡が起きたーー。第4回マイナビeBooksコンテスト入賞の、ボクシングを愛する少年とタイ人の母と暮らす少女の愛憎を描いた青春小説。シリーズ全4巻、感動の完結編！■著者からのコメントボクシングを扱いつつ、少年少女の成長を描いた青春スポーツ小説。約10年の歳月が経過する中で、登場人物の成長、師弟愛、友人との心の絆をじっくりと描きました。単に爽やかなだけでなく、時には憎み傷つけ合う登場人物の内面の葛藤や、逆境を乗り越えて強くなっていく不屈のヒロイン像が読みどころです。

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