最新刊
オオカミの生き方
(2020/12/17)オオカミ、それも動物園にいるオオカミではなく、ホンモノの野生に生きる、森や荒野をかけめぐるオオカミとは、いったいどんな生きものなのでしょう。 この本の著者ウィリアム・ロングは、20世紀初頭にアメリカ北東部を長い期間にわたってフィールドワークした作家、野生動物観察家です。GPS(あるいは北斗)もSUVもない時代に、自分の足で歩き、ときにカヌーをつかい、主として一人で広大なアメリカ北部の森を探索しました。 ロングが森で出会い、長年にわたって観察したのは、オオカミだけでなく、大はクマやムース、カリブーから小はビーバーやハタネズミ、さらには鳥類(ハクトウワシからゴジュウカラまで)や虫(スズメバチなど)と多種に至ります。 この本ではその中から、ハイイロオオカミを追ったストーリーを紹介します。オオカミの家族はどのように暮らしているのか、子どもの教育では何が大切か、狩りをするとき、獲物を分け合うときはどのように振る舞うのか、人間がオオカミから学ぶことは何かなど、ロングの実体験から導き出された考察を知ることができます。 本の後半にカップリングした『鳥たちの食卓』は、オオカミとは対象的に小さなか弱い存在と見られている野鳥の世界が描かれています。ロングは小さな頃、毎朝、庭に鳥たちのためのテーブルを用意し、そばにすわって静かに観察していました。鳥の種名を知る前に、一羽一羽を顔や態度で区別し、名前をつけて呼んでいたといいます。 この本の「まえがき」には、自然写真家の大竹英洋さんが登場します。大竹さんは北米のノースウッズと呼ばれる広大な森が広がる湖水地方を、オオカミを求めて探索し、野生動物の写真をたくさん撮ってきました。2020年春には20年越しの集大成となる写真集『ノースウッズ─生命を与える大地─』を出版。『オオカミの生き方』の案内役として、大竹さんほど適した人を他に思い浮かべることができませんでした。 著者について ウィリアム・ロング(William J. Long、1867〜1952年)。コネチカット州に住み、プロテスタントの牧師として仕事をしていた。そのかたわら、毎年3月になると、最北東部のメイン州をフィールドワークし、多くの野生動物を観察して著書に表した。"Secrets of the Woods", "How Animals Talk"など20冊近い著書があり、学校の図書館にも収録されていた。「オオカミの生き方」は"Mother Nature: A Study of Animal Life and Death"の中から「The Way of a Wolf」を日本語に訳出したもの。 大竹英洋(1975年〜)。1999年より北米の湖水地方「ノースウッズ」をフィールドに野生動物、旅、人々の暮らしを撮影。著書に『そして、ぼくは旅に出た。はじまりの森 ノースウッズ』、写真集『ノースウッズ─生命を与える大地─』などがある。 *『オオカミの生き方』は2020年3月〜10月、葉っぱの坑夫のサイト上で連載公開したものです。本として出版するにあたって、原稿の見直しをし修正を加え、「まえがき」を入れました。