原佑
(5)最新刊
現代の反省
(2021/06/11)※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 本書に収められた諸篇の原型は、左記のとおりである。 人間存在(昭和四二年二月、東京大学出版会『学問と読書』所収の同名の論文) 哲学の黄昏か黎明か(昭和二九年五月、『思想』三五九号所収の同名の論文) 現代と倫理(昭和四一年八月の或る講演草案) 人間疎外と実存(昭和四〇年八月、『理想』三八七号所収の同名の論文) 教育現象の構造(昭和四一年八月、『理想』二九九号所収の同名の論文) 賭の一考察(昭和四一年二月の或る講演草案) キルケゴールの生涯(昭和三五年三月ー六月に書かれた未発表草稿) ヴァーグナー体験(昭和三八年一〇月、『理想』三六五号所収の同名の論文) 価値の転換(昭和四三年三月、岩波講座『哲学』9所収の同名の論文) 前記からも明らかなとおり、本書に収められた諸篇は、二、三のものをのぞけば、ほぼ昭和四〇年を中心として書かれたものであり、したがって、同じこのUP選書に収められている拙著『現代と実存』や東大新書に収められている拙著『哲学と人生』以後に属する。本書の諸篇も、キルケゴールに関する未発表草稿のほかは、すべて与えられたテーマに従って書かれたものであり、それらが取りあげているのと重複するテーマもあり、それらと本書を併読していただけるなら幸いである。 まとめられた本書の標題に『現代の反省』を選んだのは、他者に対して現代についての反省をうながすというよりも、自己自身に向って、現代との関係において自己反省を深めるという意図からである。思想というかたちにまで形成される体験は、体験であるかぎり個人的体験でしかないとしても、時代とのかかわりあい抜きではありえない。キルケゴールの生涯とニーチェのヴァーグナー体験とが本書に収められたのも、この意味においてであって、これは、私自身にとっての自己反省という意図と無関係ではないのである。(「あとがき」より) 目次 I 人間存在 2 現代の状況のなかで 1 哲学の黄昏か黎明か 2 現代と倫理ーー反省の分析ーー 3 人間疎外と実存 4 教育現象の構造 5 賭の一考察 3 思想と体験 1 キルケゴールの生涯 2 ヴァーグナー体験ーー ニーチェにおける芸術と近代批判の問題ーー 3 価値の転換ーーニーチェの場合ー あとがき