最新刊
はじめての放射線治療 その疑問に答えます
(2022/03/04)ひごろ、放射線治療の外来で診療をおこなっています。来院される患者さんが主治医から放射線治療を勧められて、「もう見放されたんだ」「自分のがんは治らないのだ」と気落ちされている場合や、「放射線なんか怖くて怖くて」と大変な心配をされていらっしゃる方を数多く見てきました。ちまたには、放射線の恐怖をあおる報道が山ほどあります。私のところにおいでになる患者さんは、本当に心細いお気持ちでいらっしゃるように思います。 本書に書いたことを外来へ来られた患者さんに時間をかけて説明すると、安心され笑顔でお帰りになることが多いように思います。私と話をすると心が落ち着いて安心すると、お褒めをいただくこともしばしばです。私は、これまで勉強してきたこと、経験してきたこと、多くの患者さんから教えていただいたことを普通に説明しているにすぎません。おそらく、多くの患者さんが、不確かで不十分な情報のため、放射線治療に対して誤解や不必要な心配をされているのではないかと思います。 私がお目にかかれる患者さんは、ほんの僅かです。本書では、これから、がんの治療を受ける患者さん、放射線治療を受けようとされている患者さんやご家族に、がんの標準治療としての放射線治療について理解していただき、体に合った治療法を決めたり、不必要な心配をしたりしないでよいように、放射線治療について解説したいと思います。 本書は一般の方向きに書いたつもりですが、内容的には最新の知識を含んでいます。放射線治療専門医が非常に少ないため、専門医不在の施設では放射線治療はブラックボックスではないかと危惧しています。個々の疾患については細かくは記載してありませんが、臓器別の概要をつかむことはできると思います。医療関係者にも読み物としてお読みいただけると思っています。 がんの標準治療として重要な役割をはたしている放射線治療をご理解いただき、ご自身、ご家族の治療にお役立ていただけると幸甚です。