内田良
(20)最新刊
いじめ対応の限界
(2024/04/08)いじめの「わからない」を突き止める! 本書の概要 「いじめの被害者と加害者は入れ替わる」「教師が現場を押さえるのは容易ではない」「子どもは被害を正直には話さない」。いじめの被害者、加害者、教師、保護者……三者調査からわかったきた本当の問題とはーー。気鋭の教育社会学者が明らかにした「いじめ対応」の実態。 本書からわかること 最大の問題は、いじめの「わからない」ことが知られていない いまも昔も、学校現場はいじめ対応に苦しんでいます。いじめの被害と加害には、三重の見えにくさがあるからです。一つ目は、いじめの被害者と加害者が入れ替わること。数日前まで被害者の立場にあった子供が、気がつけば加害者の側にまわっています。二つ目は、明確に加害と被害が分けられるとしても、隠れて行われるいじめを教師側がそれを発見し、そこで加害と被害を区分することは簡単なことではないこと。そして三つ目は、子供はいじめ被害の事実を表立って語れないことです。 だから、いじめはきわめて見えにくいというところから、私たちは話を始めなければなりません。何が起きているかさえ、よくわからない。いじめは、現場に下りるほど、「わからない」ことだらけなのです。 そして「わからない」ことの追究を教師に任せるには限界があり、だからこそ、専門家の介入が必要です。「わからない」ことは、ただひたすらに教師の業務負担を増やすだけです。そして最大の問題とは、「『わからない』ことが知られていないこと」なのです。 教育現場は、いじめの「わからない」ことに苦悩している 現場は、「わからない」ことに苦悩している。それにもかかわらず、「学校はいじめを隠蔽し、教育委員会もそれに加担する」との先入観が独り歩きし、現場をいっそう戸惑わせています。 本書は、上記の問題意識のもと、4名の著者により執筆されています。著者4名は2021年8月に「学校のいじめに関する三者調査」を共同研究として実施。その調査結果を活用しつつ、各々の問題意識から「わからない」ことの困難に言及しています。 「わからない」ことから始めよう。それが、本書の提案です。「わからない」からこそ、その闇に切り込んでいかねばなりません。「わからない」からこそ、科学的な調査と研究が必要です。 目の前が真っ暗であるときほど、一つの光は救いにもなりうる。「わからない」ことからの出発が、いじめで苦しむ子供と保護者、そして教師の助けになるはずーー。 本書の提案が、一人でも多くの方の手助けになることを祈っています。 こんな先生におすすめ いじめ問題に関心のある先生